ドローンは非常に便利な産業機械であり、その需要はますます高まっています。しかし、資格取得や機器導入にかかる費用は決して少額ではありません。補助金や助成金を活用することで、コストの一部を軽減できる可能性があります。この記事では、ドローン関連事業で利用できる補助金・助成金について詳しく解説します。
ドローンの資格取得の際受けられる助成金
ドローンの資格取得にはさまざまな費用がかかります。そこで、資格取得の際に受けられる助成金を知っておきましょう。
人材開発支援助成金
事業者が従業員のスキル向上や人材育成を目的とした研修や訓練を実施する場合に支給される助成金です。これは、ドローン資格取得のためのトレーニング費用として使用可能です。
最大補助金額 | 1億円(1事業所1年度あたりの限度額) |
---|---|
補助率 | 中小企業は75%、大企業は60% |
職場外研修(OFF-JT)を10時間以上行う人材育成訓練や、中核人材育成を目的としたOJTとOFF-JTの組み合わせである認定実習併用職業訓練、正社員への転換を目指して行われるOJTとOFF-JTの組み合わせである有期実習型訓練が対象とされます。
働き方改革推進支援助成金
中小企業が、従業員の労働環境を改善し、生産性向上を図るために支給される助成金です。ドローンの導入により、業務効率の向上や労働時間の短縮、作業の簡略化に寄与する場合、助成金の申請を検討しましょう。
時間外労働の削減や、年次有給休暇の取得促進の取り組みが求められるため、ドローン導入によってどのように労働環境の改善が図れるのかなどの成果目標を設定する必要があります。
最大補助金額 | 成果目標達成状況による |
---|---|
補助率 | 原則3/4 |
ドローン事業の立ち上げや運営には、機材の購入や技術開発などの初期投資が不可欠です。そこで、ドローン事業者を支援するための補助金制度の活用を検討しましょう。
経営継続補助金
新型コロナウイルスの影響を受けた事業者を対象に、経営回復をサポートする補助金です。感染拡大防止対策とあわせてドローンを導入するなど、ひとりで作業可能な環境を整えられる場合に向いています。この補助金は、採択率が比較的高いのも特徴です。
強い農業・担い手づくり総合支援交付金
農業用ドローンの取得やリースなどにより農業支援を図る事業者に対し、機材の導入費用の一部を補助します。農産地での業務効率化や生産性向上を目的としているため、とくに農業分野でドローンを活用したい事業者にとって大きな助けとなるでしょう。
最大補助金額 | 1,500万円 |
---|---|
補助率 | 1/2 |
産地生産基盤パワーアップ事業
農業経営を強化するための総合的な支援が期待できる制度です。強い農業・担い手づくり総合支援交付金と異なり、産地全体の協力を重視している点が特徴です。土壌改善や収穫効率を向上させるための支援も行っています。
最大補助金額 | 20億円 |
---|---|
補助率 | 1/2以内等 |
小規模事業者持続化補助金
商工会や商工会議所のサポートを受けながら、計画的な事業展開を進められる補助金です。販路開拓や経営の持続性を高めるために設けられた制度で、最大250万円までの補助を受けられます。採択率は30〜90%と幅広く、通年で公募されているため、一度落選しても再挑戦できるのがポイントです。
最大補助金額 | 通常枠は50万円、そのほかは200万円 |
---|---|
補助率 | 2/3 (赤字事業者については3/4) |
事業再構築補助金
業態変更や新市場への参入を目指す中小企業を対象とした補助金です。申請には支援機関や金融機関による確認が必要で、補助事業終了後の3〜5年以内に付加価値額を年率平均3〜5%以上増加させることが求められます。大規模な事業再構築を計画している場合には、この補助金が強力な支援となるでしょう。
最大補助金額 | 最大1.5億円 (枠・類型や従業員数によって異なる) |
---|---|
補助率 | 中小企業は1/2、中堅企業は1/3 |
ものづくり補助金
設備投資や技術開発などを支援する制度です。とくにドローンを活用したサービスや、部品を製造する企業に対して補助金が提供されます。
採択率は約50%と他の補助金にくらべて高くはありませんが、最大5,000万円の補助が受けられる場合もあります。募集期間に制限がないため、自分のタイミングで申請準備を進められるのがメリットです。
最大補助金額 | 最大1億円 (枠・類型や従業員数によって異なる) |
---|---|
補助率 | 中小企業は1/2、小規模事業者は2/3 |
IT導入補助金
ドローンを飛ばすためのソフトウェアや、アプリなどのITツールを導入する際に利用できる補助金です。補助額は5万円から450万円で、ドローン運用の効率化を図るためのシステム導入に活用できます。
ただし補助金を受けるには、登録されたIT導入支援事業者やITツールの使用が条件になります。そのため、導入予定の事業者やソフトウェアが適用対象かについて事前に確認することが重要です。
最大補助金額 | 1プロセス以上は5万円〜150万円未満、4プロセス以上は150万円〜450万円以下(通常枠) |
---|---|
補助率 | 1/2以内 |
助成金・補助金を受けるときの注意点
助成金や補助金を受ける際には、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。
後払いである
助成金や補助金の支払いは、基本的に後払いです。申請が通ったとしても、最初に自社や個人で全額を支払わなければなりません。資金が不足している場合は、補助金が支給されるまでの間つなぎ融資を検討するのもひとつの方法です。
条件と期限を守る
助成金や補助金の申請には、条件を満たすための多くの書類を準備し、期日内に提出する必要があります。手続きには時間と手間がかかるため、事前に必要な書類や条件を確認し、余裕を持って準備を進めることが大切です。
また、手続きが完了した後も事業終了後には報告書を提出しなければならず、正確な会計処理も求められます。もし不正確な報告や書類不備があると、補助金が支払われない場合があるため注意が必要です。
さらに、補助金や助成金の対象となる支出は、交付決定通知が出た後から発生したものに限られます。それ以前に支出があった場合、その費用は補助金や助成金の対象外となるので十分注意しましょう。
受けられないこともある
助成金や補助金は、申請したからといって必ず受けられるものではありません。審査に通るためには、申請書類を正確に作成して必要な条件をクリアすることが大切です。とくに、申請書類に記載する事業計画は、しっかりとしたものであることが求められます。
まとめ
ドローンスクールで利用できる補助金や助成金は、費用負担を軽減する大きな助けとなります。一方で、適切に申請するためには条件や手続きに注意する必要があります。審査や提出期限などをよく把握し、細かな点に気を配って申請することで、スムーズに助成を受けられるでしょう。ドローンの資格取得や事業展開を成功させるためにも、これらの制度をしっかりと理解し、綿密に準備してから申請に臨むことが重要です。