今回は、人材不足を解消すべく実用化に向けて開発されている、ドローン活用のメリットと今後の課題について紹介します。物流業界では、今後人材不足となり消費者へうまく商品が届かない問題が将来的に発生するとされています。本記事では、物流分野におけるドローンの活用とメリットに関して紹介します。
ドローン配送で物流の問題が解決する?
今、どの業界でもドローンが注目されており「物流業界でもドローンの活用を活用しよう」といった流れが出ています。ドローン配送で物流の問題が解決するのか紹介します。
人材不足を補える
ドローンが物流業界で最も有効とされていることは、人材不足を補えることです。現在、ドライバーの時間外労働で制限が生じる、2024年問題によりさらなる問題が発生するとされています。
こうした問題を防ぐためにも、ドローンによる無人配送でドライバーの人材不足の解消が可能とされています。人材不足解消だけではなく、消費者への利便性も維持できるでしょう。
交通渋滞の緩和に役立つ
配送時に渋滞が起こると、時間や輸送コストだけではなくドライバーの負担も大きくなるでしょう。こうしたことを防ぐためにも、ドローンの活用でスムーズな配送が可能になります。荷物が小型であれば、トラックを使わずに配送できるため配送業務の効率化も図れると言えます。
コスト削減が可能になる
ドローン配送によって、ドライバーの人件費や配送に掛かるコストがすべて削減できるでしょう。配送を効率化できるため、再配達によるコストも軽減できます。また、ドローンは飛行機と異なり燃料費や維持費が掛かりません。昨今、燃料費が高騰していますが、こうした影響も受けにくいメリットがあります。
ドローン配送の導入には課題もある
ドローン配送の導入にはメリットが多い半面、デメリットや課題もあることを知っておきましょう。ドローン配送にどのような課題があるのか紹介します。
配送面での安全性
ドローン配送は、天候の影響を受けやすいデメリットがあります。例えば、ドローンは強風や落雷の影響を受けやすく、天候に問題がなくても鳥や電線に引っかかる可能性があるでしょう。
また、ドローンが墜落や破損した場合、大きな損害になります。もし、ドローン配送を検討するのであれば、常に天候のチェックや機体を整備することを覚えておく必要があります。
盗難などのセキュリティ対策
ドローン配送を検討する場合、配送中に荷物が盗まれるリスクがあります。また、高価なドローンそのものが盗まれる可能性も無視できません。
そのため、事前にドローンに対して物理攻撃やハッキングを防ぐ機能を備えておかなければなりません。犯罪までの対策が確実になるまでは、安全な飛行ルートの活用や人による手厚いサポートを受けることをおすすめします。
積載量・重量制限やバッテリー容量
現在、流通している産業用ドローンの多くは、それほど積載量が大きくありません。積載量を増やすためには、ドローンの性能そのものを高める必要があり、これには大きなコストが掛かるでしょう。
将来的に、ドローン配送をするのであれば積載量・重量制限の課題を克服する必要があります。また、それほど大きくないドローンのバッテリー容量を増やすことは、遠方への配送を考えると新たな開発が必要となるでしょう。
ドローン配送実用化に向けてどんな動きがあるのか
ドローン配送には、上記の通り多くの課題があります。しかし、実際にはドローン配送実用化に向けてさまざまな動きがあるのも事実です。ドローン配送実用化に向けた動きについて紹介します。
改正航空法の施行
ドローン配送は、国や自治体が現在実用化に向けてさまざまな実証実験をおこなっています。2022年のロードマップでは、2022年度中にレベル4飛行を目指し、高度なドローン運航によって可能になる未来がまとめられています。レベル4飛行になったことで、街中でドローンを見かける日も増えてくるかと思いますが、現時点ではレベル4飛行が可能な機体は1つのみのため、実用化はまだ進めている最中になります。
ドローン配送のガイドライン
現在、改正航空法施行やドローン配送の社会実装推進の流れを受け、導入方法や手続きに関する整理が必要となりました。2023年には、ドローンに関するガイドラインが国土交通省より公表されています。ガイドラインには、ドローン配送に関する持続可能性がまとめられているため、ドローン配送を検討されている方は、一度目を通してみることをおすすめします。また、2024年には全国新スマート物流推進協議会がドローンの活用した事業展開の推進による持続可能な地域社会づくりへの貢献を目指して「ドローン配送約款に関する指針」を策定しました。
ドローン導入している県もある
東京都や宮城県、長野県などではすでにドローン配送の実証実験がおこなわれています。例えば、長野県は山間部が多く、高齢家庭では買い物をするために街へ出ることが困難な方も増えています。
そこで、買った商品はドローンを活用して、地元の集落にある公民館へ配送し、ボランティアが利用者まで届けるサービスをおこなっています。
まとめ
今回は、人材不足を解消すべく実用化に向けて開発されているドローン活用のメリットと今後の課題について紹介しました。ドローン配送は、急成長する人材不足を解消し、交通渋滞を緩和し、コスト削減を実現する可能性があります。無人配送により効率的な物流が可能となり、再配達コストや燃料費の削減にも寄与するでしょう。しかし、課題も多く、天候の影響やセキュリティリスク、積載量やバッテリー容量の制限が挙げられます。それでも、改正航空法の施行やガイドラインの整備により、実用化に向けた進展が見られ、既に一部地域では実証実験も行われています。将来的には、これらの課題を克服し、より普及が期待される分野です。