大規模工事などの進捗状況の確認や、建物および地形の測定などの目的で建設業界でもドローンが取り入れられるようになりました。多くの企業が人手不足に悩まされる現代で大きな役割を期待されているのがドローンです。そこで今回は、建設業界におけるドローンの活用について詳しく解説します。
ドローンは建設現場のどんな場面で役立つ？
ドローンは、遠隔で自動操縦も可能な航空機械です。無人航空機であり、加速度センサーや障害物センサーなど、各種センサーが搭載されているものもあります。
以前までは趣味用に購入する人が多かったドローンですが、近年では建設現場でも活用されるようになりました。ここからは、具体的にどのような場面で活用されているか紹介します。
測量
建設工事の大半は測量から始まります。土地の広さや距離、角度、高さから起伏、位置関係を把握するための作業です。それらを数値化して図面を作り上げていきます。工事の前はもちろん、工事中も測量を行います。
これらの測量を行うには建築現場を測量器を持った人が隅から隅まで歩いて行う必要がありました。しかし、それでは大変な労力とコストがかかってしまうのが課題であるといわれてきたのです。
それらの課題は、ドローンを活用することで全て解決することができました。測量を上空から行うことで歩いて測る必要がなくなり、詳細なデータを短時間かつ広範囲で集めることが可能になりました。
施工管理
次に施工管理の場面でもドローンは有効活用されています。施工管理はおもに工事が計画通りに進んでいるかどうか、安全面などに問題がないかを確認する作業です。
直接現場に足を運ばないといけないうえに頻繁に行かなければならないことも多いため、時間と労力を費やします。測量と同様に、ドローンを使うことで現場確認のために人が動く必要がなくなるため、作業効率アップします。
リアルタイムで映像や画像を確認でき、複数人と共有も可能になるので会議などでも役立つでしょう。また、点検や調査、運搬でもドローンは活用されており、建設現場で幅広く活躍しています。
ドローン活用のメリット
次に、建設現場におけるドローン活用のメリットを紹介します。メリットは大きく分けて次の3つです。
作業員の安全の確保・事故防止
測量などで、高低差の激しい場所や落下の危険性がある場所を作業員が歩かなければならない場合、どうしても作業員の安全面が懸念されます。そこで、ドローンに作業を任せることで安全面の心配がなくなり、事故の防止にもつながるのです。
作業効率アップ・人手不足解消
複数人でする必要があった作業をドローンに全て任せることで、人手を割く必要がなくなります。これにより、人手不足を解消することが可能です。そして、そのぶん他の作業に時間を使えるようになり、作業効率の向上や労働時間の短縮が見込めます。
コストの削減
ドローンを活用するにはコストはかかります。しかし、重機を手配したり、たくさんの人員を配置するほうがコストがかかる場合が大半です。無駄な重機や資材、人材を削減することによって、必然的にコストの削減にもつながります。
今後のドローンはどのように建設現場に関わってくるか
遠隔操作で空撮を行い、建設現場の状況をリアルタイムで共有できるドローンは今後も建設業界で重要な役割を担うことでしょう。ドローンを活用することで作業効率の向上やコストの削減はもちろんのこと、作業工程で発生する無駄を省くことにもつながります。
たとえば、業界でも問題視されている管理ミスによる無駄な資材の増加です。これらは、ドローンにより工事の進捗状況を随時把握することによって、迅速に調整することが可能になります。無駄を省くことができれば、適切な資材調達もスムーズにできるようになるでしょう。
また、ドローンはリアルタイムでの情報収集や現場の可視化に優れているだけでなく、現場全体をスキャンすることで3Dモデルを簡単に制作することも可能になります。
ドローンは、高解像度カメラや高機能なセンサーを搭載しているものが多いです。それらを活用して、設計段階から完成後までをデータ管理することで、全体像をより詳細に把握可能になります。
また、将来的には、作業員では危険が伴うためできなかった作業もドローンが代わりに対応してくれるようになるかもしれません。ドローンを導入するメリットは大きいため、今後もドローンは建設現場においてますます活躍することでしょう。
まとめ
建設現場におけるドローンの役割は多岐に渡ります。作業員の安全確保や作業効率の向上、コストの削減などさまざまなメリットがあるのです。また、測量や施工管理以外にも、最新技術と組み合わせて付加価値を創り出すことで今後さらに発展していくことが予想されます。しかし、ドローンは誰でも操縦ができるわけではないため、熟練した操縦技術者の確保や社内における技術者の育成などが今後の課題となるでしょう。課題をクリアしてうまく活用できれば、これまで以上にスムーズに作業を行うことができるようになります。ドローンの活用はまだ始まったばかりですが、建設業におけるさまざまな場面での活躍が当たり前になる未来はそう遠くないかもしれません。
